max(∅)=-∞ は半群のモノイド化
全順序集合に思いを馳せながら寝たら思いついたネタを投げます。
導入
数学書かなにかで次のような記述を見たことがあるかもしれません。
を正の整数全体の集合とする。
このとき、に対してと定義する。
ただし、とする。
これ、特殊扱いしてるみたいで気持ち悪くないですか?
しかも、今回の場合は「」でも「」でも「」でも問題ないです。要はを満たすなら何でもいいです。
ただ、これを半群のモノイド化(1-添加と言うらしい?)と解釈したらスッキリしました。これについて以下にまとめます。
思考
- を任意の全順序集合とする。
- このとき、は二項演算に関して半群である。
- ここで、二項演算であることを強調しての記法を使用。以降も同様。
- 注)は一般にモノイドではない。
- 例えばは全順序集合だが、に関して単位元を持たない。
- ここで、なる元を導入してと定義すると
- はモノイドになる。(モノイドの定義より明らか)
- とおく。
- 特にが有限集合のときは、である。
- 言わずもがな はモノイドである。
- このとき、写像を次のように定義する。
- に対して
- ならば、
- ならば、
- に対して
- すると、はからへのモノイド準同型である。なぜなら
- について
- ならば \begin{aligned}\max(A\cup B) &= \text{「}A\cup B\text{のうち最も大きな値」} \\ &= \max\nolimits_2(\text{「}A\text{のうち最も大きな値」}, \text{「}B\text{のうち最も大きな値」}) \\ &= \max\nolimits_2(\max(A), \max(B)) \end{aligned}
- ならば \begin{aligned}\max(A\cup B) &=\max(B) \\ &= \max\nolimits_2(\alpha, \max(B))\\ &= \max\nolimits_2(\max(A), \max(B)) \end{aligned}
- ならば \begin{aligned}\max(A\cup B) &=\max(A) \\ &= \max\nolimits_2(\max(A), \alpha)\\ &= \max\nolimits_2(\max(A), \max(B)) \end{aligned}
- について
結論
「ただし、とする」は
- 全順序集合をモノイドに拡張し、
- を、からへのモノイド準同型にする
ための操作だと解釈できる。つまり、の値は半群の結合律を壊さない範囲で適切な単位元を導入すれば良いので、冒頭のような自由度のある値設定が生まれてくる。
補足
↑はについてしか書かなかったけど、当然についでも同様な議論ができる。
感想
スッキリした。おやすみ
ノリで書いたので何かミスがあるかも